2022.10.31
先日、豊田市美術館で開催中の
ゲルハルト・リヒター展を見に行ってきました!
自然光が多く入る豊田市美術館とリヒター作品はすごく合うだろうなぁ、と
何日も前から楽しみに向かいましたが、
期待通り、またはそれ以上に素晴らしく美しい企画展でした。
リヒターといえば真っ先にアブストラクト・ペインティングが頭に浮かびます。
「スキージ」と呼ばれる彼自作の大きく長細いヘラを用いて、キャンバス上で
絵具を引きずるように延ばしたり、削り取ったりすることで生まれる抽象作品。
個人的に本展で最も好きだったのがこの作品↓
一通り鑑賞した後、最後にまたこの作品に寄ってじっくりと目に焼き付けてから帰りました。
リヒターのアブストラクト・ペインティングを見た時、わたしは多くの場合、思考停止になります。
美し過ぎて言葉を失う感じ。
恐らく意図を超越し、人為的に表現出来るレベルを超えているからなのだろうと理解しているのですが…
その点、
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で密かに撮られた4枚の写真をもとにリヒターが描いた
巨大な抽象画「ビルケナウ」は2014年制作ですが、ウクライナとロシアが戦争状態にある今、
「戦争」について否応なく考えさせられます。
高さ2.6m幅2mの巨大な油彩抽象画4点から構成される「ビルケナウ」
用いられる黒や白、そこに見え隠れする赤やグリーンは叫び声のようにすら見えてきます。
そして同じサイズのデジタルコピー作品が向かい合うように配置されているのも異様な印象。
このビルケナウ作品は全然消化しきれていないので、もう一度行けたら足を運びたいです。