2025.7.29
毎年誕生日付近に描いている自画像スケッチです↑
第5回銀座中央ギャラリー公募展では
多くの皆様にご来場いただき、
ご投票いただき、誠にありがとうございました。
お迎えくださった方、心より感謝申し上げます。
出展作「息吹」は女の子×蝶シリーズの3作目に描いた日本画。
同シリーズは最低でも10作は描こうと思っていてこれから6作目の資料集めに取り掛かるところです。
子供たちの夏休みで全然はかどりませんが。。。
ところで。
46歳となり人生も後半に差し掛かっている今日この頃。
ずっと頭に引っ掛かっていることがあります。
それはある人にお会いしてお礼を言いたいということ。
28年前、
東京芸術大学1次実技デッサン試験当日の朝、
高3だったわたしは見事に寝坊した。
いくら放任主義だからといってもいったいウチの親はどうして受験当日の朝でさえ起こしてくれないのか!?
文句を言う暇もなく大慌てで準備するも乗車を予定していた最寄り前橋駅始発の快速電車ではもう試験に間に合わない。
父が信号無視しまくりで隣市の高崎駅まで車を飛ばして急きょ新幹線で試験会場のある上野まで向かうことに。
わたしは父の車が事故を起こさないか、という恐怖と共にあるものを忘れてきたことに気がついた。
鏡。
デッサンを描くのになんで鏡?と思われるかもしれないが、鏡越しに見ると描いているデッサンの狂いが分かるので
当時のデッサンツールBOXにはいつも鏡が入っていたけれど、そんな大事な日に限って入っていなかった。
高崎駅のコンビニで探しても見当たらない。
もうしょうがない。上越新幹線の自由席へ。
そこでわたしは意を決して隣の席に座られていたある女性に声を掛けた。
これから受験でデッサンの試験を受けること。
デッサンの狂いを見るのに鏡が必要であること。
朝寝坊して鏡を忘れてきたこと。
コンビニになかったこと。
「あの、鏡を持っていらっしゃいませんか?」
当時50代から60代くらいに見えたその人は
高校生のわたしにファンデーションのコンパクトを渡してくれた。
「これを使いなさい」と。
その人はご両親の介護で上越新幹線に乗っていること。
警察官であること。
他に何か困ったことがあったらここに連絡しなさい、と名刺も一緒に渡してくれた。
試験には何とか間に合い、
わたしはそのコンパクトの鏡を使って必死にデッサンを描いた。が、落ちた。
そしてはじめから受かる見込みなど限りなくゼロに近かったが
ショックすぎてその大事な名刺をなくしてしまったのだ。
今だにこのことについては父から非難されるし
自分でも若かりし頃の己のダメさに呆れるしかない。。。
その後2年の浪人生活の後、合格。
28年経った今でもどうにか描き続けていること、
何より「あの時のコンパクトありがとうございました」とお礼がしたい。
大人になり化粧をするようになった今のわたしには、
当時のコンパクトがその方にとっていかに大切なものだったか良くわかる。
今のわたしだったら初対面のよく分からない高校生の話に付き合ってコンパクトを渡すだろうか?
その方の心優しさに今になって敬服するばかり。
もし手がかりになるようなことをご存じの方は
ぜひご連絡いただければ幸いです。
ある人について分かっていること
・性別:女性
・現在の推定年齢:70~80代
・28年前、警察官だった
・ご両親の介護で上越新幹線(上り上野東京方面行)に乗っていた
※父の信号無視については運良く無事故だったこと、時効ということでどうかご容赦いただきたい。